通信制高校のコース費用はいくら。就学支援金の対象外になる「コースぶん」を2校の公開資料で分けて計算した
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イラスト、ゲーム、動画、美容。好きな分野を学びながら高校を卒業できるコースを持つ通信制高校があります。費用を調べると「年間学費」の総額が出てきますが、その中身は性質の違う2つの費用です。
- 卒業に必要な単位を取るための学費(全コース共通)
- 選んだコースの学費
就学支援金が充てられるのは前者の授業料だけです。この記事は、費用を分けて公開している2校の資料(いずれも2026年8月5日確認)を使って、コース選びで動く金額を切り出したものです。
- 卒業ぶんの授業料は就学支援金で大きく下がる。N高グループは支給見込額を先に差し引く方式で、初年度の納入額が37万3,000円から7万3,000円になるモデルを出している(受給要件を満たし申請・認定を受けた場合)
- その卒業ぶんはコースを変えても共通。N高グループは「選択するコースにかかわらず全生徒共通」と明記し、クラーク記念国際高等学校もスマートスタディⅠ/Ⅱでは同額だった。学校選びで比べればよいのはコースぶんだけに絞れる
- そのコースぶんは学校とコースで大きく動く。N高グループの入学初年度の合計は28万円から102万8,000円、クラークのコースぶんは年6万円と年27万5,500円だった。比べる価値があるのはここ
- 私立通信制の支給限度額は定額授業料なら月2万8,100円、単位制授業料なら1単位1万3,668円(実際の充当額は各校の授業料の設定によっては限度額を下回る)
- ただしコースぶんは就学支援金の対象外。N高グループの募集要項がその旨を明記している。サポート校も制度の対象外
卒業に必要な学費は全コース共通で、支援金で下がる
N高等学校・S高等学校・R高等学校の2027年度生徒募集要項(PDFで公開。2026年8月5日確認)は、学費を2段に分けています。まず全生徒に共通する側です。
N高等学校・S高等学校・R高等学校では、選択するコースにかかわらず全生徒共通で「単位制・通信制課程の学費(右表)」が必要になります。
その中身です。
| 単位制・通信制課程の学費 | 普通科 | 普通科ベーシック |
|---|---|---|
| 入学金 | 10,000円 | 10,000円 |
| 教育関連諸費 | 13,000円 | 13,000円 |
| 施設設備費 | 50,000円 | 50,000円 |
| 授業料 | 1単位当たり12,000円×履修単位数 | 1単位当たり7,200円×履修単位数 |
25単位履修の場合の授業料は、普通科が12,000円×25単位=300,000円、普通科ベーシックが7,200円×25単位=180,000円と注記されています。募集要項は「単位制・通信制課程の学費は、履修単位数や『普通科』と『普通科ベーシック』の選択によって変わります」としているので、共通なのは費目の構成で、金額が固定というわけではありません。
この授業料に就学支援金が充てられます。募集要項は支給見込額をあらかじめ差し引く「先引き」の例として、先引き適用ありなら納入額73,000円、適用なしなら納入額373,000円(先引き額300,000円)を挙げています。ネットコース(普通科)の年間学費モデルでは、先引きありが1年次73,000円・2年次と3年次が各63,000円で3年間の実質負担額199,000円、先引きなしが3年間1,099,000円です。
この差は申請しないと出ない
募集要項は就学支援金を「申請手続きを行うことで(中略)認定結果に応じた就学支援金が所属期(4月、7月、10月、1月)の終了月に支給されます」と説明しています。クラーク記念国際高等学校の学費ページも「受給要件を満たし、申請・認定を受けることで、授業料の一部に就学支援金が充てられます」「支援を受けるには申請が必要」としています。上の73,000円は申請・認定を前提にした数字です。
ただしコースぶんは制度の外側にある
同じ募集要項は、週5コース・週3コース・週1+コースについてこう書いています。
週5コース・週3コース・週1+コースへ入学を希望される方は、「単位制・通信制課程の学費(P.1)」に加えて「各コースの学費(下表)」が必要です。なお、週5コース・週3コース・週1+コースの学費は、「高等学校等就学支援金(就学支援金)」の対象外となります。別途、学習ツールとして「MacBook Air」(約16万円)の購入が必要です。
推測ではなく、学校が書いています。コースを厚くするほど、増えた分は制度の外側に積み上がります。逆に言えば、どの学校を選んでも下の段は同じように支援金で下がるので、学校ごとの差はこの上の段に集まります。
その金額です(表には「税込み」と明記されています)。
| 週5コース リアル | 週5コース オンライン | 週3コース リアル | 週3コース オンライン | 週1+コース リアル | 週1+コース オンライン | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 入学金 | 100,000円 | 22,000円 | 100,000円 | 22,000円 | 50,000円 | 22,000円 |
| 授業料 | 600,000円 | 600,000円 | 440,000円 | 456,000円 | 160,000円 | 180,000円 |
| 施設設備費 | 250,000円 | — | 185,000円 | — | 80,000円 | — |
| セキュリティーソフト代 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
| 単位制・通信制課程の学費 | 73,000円 | 73,000円 | 73,000円 | 73,000円 | 73,000円 | 73,000円 |
| 入学初年度年間合計 | 1,028,000円 | 700,000円 | 803,000円 | 556,000円 | 368,000円 | 280,000円 |
最下段以外の行がコースぶんで、下から2行目の73,000円(先引き適用ありの卒業ぶん)だけがどのコースでも同じです。合計は28万円から102万8,000円まで開きますが、動いているのは制度の外側だけです。
なお同じ募集要項には、講座を選んで受講する「+ONE授業」のチケット代(税込み)も載っています。3枚16,500円、5枚27,500円、10枚55,000円、30枚165,000円です。ここも制度の外側です。
もう1校でも同じ形だった
クラーク記念国際高等学校の学費ページ(2026年8月5日確認)も、年間学費を2つの合計として説明しています。
年間学費は、「高校卒業資格の取得に必要な学費」と「選択コースの学費」を合わせた金額です。
同ページはこの2つを❶「高校卒業資格に必要な単位修得のための学費」と❷「選択コースの学費」として並べ、❶について「すべてのコースで必要となる学費です。選択コースや履修単位数によって金額が異なります。」と書いています。そのうえで、
❶の学費のうち、授業料が高等学校等就学支援金(以下、就学支援金)による減免の対象です。
としています。減免の対象として挙げられているのは❶の授業料だけです。
2027年度新入生の年間学費モデル(就学支援金対象の場合)は次のとおりです。表では❶が「①本校授業料等」、❷が「②コース授業料等」と表記されています。
| コース | ①本校授業料等 | ②コース授業料等 | 年額 |
|---|---|---|---|
| スマートスタディⅠコース | 10万2,800円 | 6万円 | 16万2,800円 |
| スマートスタディⅡコース | 10万2,800円 | 27万5,500円 | 37万8,300円 |
補足事項に「就学支援金337,200円を①本校授業料に充当した後の学費モデルとなります」とあります。この2コースでは①が同額なので、年額の差21万5,500円はまるごと②の差です。
ただし①はどのコースでも10万2,800円というわけではありません。同じページの単位修得コース(25単位履修の場合)は年額30,000円(本校授業料等)で、週5日通学コースの金額は掲載されていません。❶の定義そのものが「選択コースや履修単位数によって金額が異なります」なので、①が固定なのではなく、この2コースがたまたま同額だと読むべきです。
オプションの受講料も外側に乗る
クラークのページには、スマートスタディⅡコース生が希望制で選べる「オプションプラス費用」の年額も出ています。好きな分野を学ぶ枠にあたるのが「デジタルクリエイト」です。
| オプションプラス(デジタルクリエイト) | 受講料(年額) |
|---|---|
| Webサイト制作 | 20万円 |
| ゲーム制作 | 20万円 |
| 動画制作 | 20万円 |
| アプリ開発①(Java Script) | 20万円 |
| アプリ開発②(Python) | 25万円 |
大学受験・グローバルの枠も同じ表にあり、いずれも年20万〜35万円です。スマートスタディⅡコース(年37万8,300円)でゲーム制作(年20万円)を取ると、モデル上の自己負担は年57万8,300円になります。うち就学支援金で減らせない部分が47万5,500円です(残る10万2,800円は①の充当後の残りなので、これも支払う額です)。
単位制の授業料には「通算74単位」の上限がある
授業料が単位制で設定されている場合、文部科学省の支給限度額に注記が付きます。通算74単位、年間30単位までです。通信制の課程の支給限度額は次のとおりです。
| 高等学校 通信制 | 定額授業料の場合 | 単位制授業料の場合 |
|---|---|---|
| 公立・支給期間 | 48月 | 48月 |
| 公立・支給限度額 | 520円/月 | 336円/単位 |
| 私立・支給期間 | 48月 | 48月 |
| 私立・支給限度額 | 2万8,100円/月 | 1万3,668円/単位 |
「※2 通算74単位、年間30単位まで」の注記は単位制の欄にだけ付いており、定額授業料の欄には付いていません。学校種別の年額の比較は所得制限が撤廃された就学支援金の記事にまとめています。
この74単位は、高校の卒業要件と同じ数です。学校教育法施行規則 第96条第1項(e-Gov法令検索、法令ID 322M40000080011)は次のように定めています。
校長は、生徒の高等学校の全課程の修了を認めるに当たつては、高等学校学習指導要領の定めるところにより、七十四単位以上を修得した者について行わなければならない。ただし、第八十五条から第八十六条までの規定により、高等学校の教育課程に関し第八十三条又は第八十四条の規定によらない場合においては、文部科学大臣が別に定めるところにより行うものとする。
条文が定めるのは修得単位数ですが、就学支援金の側は数え方が違います。N高グループの募集要項は支給対象外となる要件として「履修期間を満了した単位数が74単位を超えている方」を挙げ、「『修得単位数』ではなく、これまでの高校在籍時の『履修登録単位数』で計算します」と注記しています。単位を落とした科目も数に入るということです。同募集要項の支給条件も「高等学校在籍が上限48カ月まで」「卒業まで最大74単位まで」「年間の上限は30単位まで」で、文部科学省の資料と一致しています。
クラークの学費ページも「単位修得コースの場合、高等学校での履修74単位が上限となります」としています。74単位の上限は単位制授業料の場合の話で、定額授業料の学校では月額×支給期間が枠になります(48月の支給期間は定額・単位制の両方に付きます)。
なお、上で見たオプションプラスやコース学費のように、専門の学びの費用が単位ではなく年額で設定されている場合は、この上限とは別に発生します。
サポート校の費用は就学支援金の対象外
文部科学省のQ&A(2026年8月5日確認)に、はっきり書かれています。
Q 通信制高校とは別にサポート校(サポート施設)にも通う場合、サポート校も対象となりますか? A サポート校については、就学支援金制度の対象ではありません。 通信制高校の授業料については、就学支援金制度の対象となります。
同じQ&Aの支給対象校の一覧には、国公私立の高等学校(全日制、定時制、通信制)、中等教育学校後期課程、特別支援学校の高等部、高等専門学校(1〜3学年)、専修学校(高等課程)などが挙がっています。サポート校はここに入りません。なおこれは就学支援金の対象外という意味で、都道府県や市町村の独自の支援まで否定するものではありません。
金額の置き場所は学校によって違う
同じ「学費」でも、置いてある場所は学校ごとに違いました。
- クラーク記念国際高等学校は学費ページに①②を分けて掲載。ただし週5日通学コースの金額は出ておらず、「各拠点の募集要項をご確認ください」となっています
- N高等学校・S高等学校・R高等学校は生徒募集要項のPDFに掲載。入学案内のページには「生徒募集要項には(中略)各コースの学費(中略)についての詳細が記載されています」とあり、ページ上に金額として出ているのは入学検定料5,000円だけです
コースぶんを横に並べて比べるには、学校ごとに置き場所の違う資料を集めることになります。
この記事で確認できていないこと
- クラーク記念国際高等学校の「①本校授業料等」の内訳。授業料とそれ以外の費目の別が公開されていないため、支援金が①のどこまでを消しているかは確認できていません
- クラークの週5日通学コースの金額、北海道地区の金額、転入学・編入学の金額
- クラークの2年目・3年目の年額。公開されているのは2027年度新入生の年額モデルです
- N高グループの2年目以降のコースぶん。募集要項の表は「入学初年度」の年間合計です
- 税込・税抜の別。N高グループのコース学費と+ONEチケットには「税込み」の明記がありますが、単位制・通信制課程の学費とクラークの各表には税の表示がありません
- ここで引いた2校以外のコース費用。学校によって公開の仕方が違います
- 資料請求で届く資料に、コース別の学費表が含まれるか
まとめ
- 通信制高校の年間学費は「全コース共通の卒業ぶん」と「コースぶん」の合計
- コースぶんが就学支援金の対象外であることは、N高グループの募集要項が明記している
- 卒業ぶんの授業料には支援金が充てられる。私立通信制の支給限度額は定額なら月2万8,100円、単位制なら1単位1万3,668円(通算74単位・年間30単位まで)
- 支援金の74単位は「修得単位数」ではなく「履修登録単位数」で数える
- サポート校の費用も就学支援金の対象外
- 学校とコースで動くのはコースぶんなので、比べる意味があるのもそこ。N高グループで28万円〜102万8,000円、クラークで年6万円〜27万5,500円の開きがあった
好きな分野を学べるコースで通信制高校を選ぶなら、見るべきは「年間学費」の総額ではなく、そのうち何円がコースぶんかです。学校に資料を請求するときは、卒業ぶんとコースぶんが分かれて書かれているか、コースぶんに何が含まれるか(機材や教材、オプションの受講料が別立てか)を見てください。
この記事で金額を引いた2校は、クラーク記念国際高等学校が学費ページ、N高等学校・S高等学校・R高等学校が生徒募集要項のPDFで、どちらも各校のサイトから直接たどれます。
そのうえで、学校の候補そのものを分野から広げたい場合は、なるには進学サイトの一覧が使えます。2026年8月5日時点の掲載は通信制高校4校(サポート校を含めて5校)で、上の2校は含まれていません。候補を網羅する一覧ではありませんが、「目指せる分野を選ぶ」「目指せる職業・資格を選ぶ」で絞り込め、一覧から「このページ全てまとめて資料請求リストに追加する」を押せば、選んだ学校の資料をまとめて請求できます。まだ学校名が挙がっていない段階で、分野から入口を探すときに向いています。